秘密を食むのは魅惑の唇
翌朝。
自宅ではないものの見慣れた天井に、すぐに千夏の家であることが分かった。
(あたま痛ぁ…。えっと、昨日は、)
昨夜の記憶を思い出そうとした瞬間、昨夜の出来事が鮮明にフラッシュバックした。
__そう、ずっと隠していた秘密を彼女に打ち明けてしまったことも。
僕は一気に血の気が引くのを感じた。そんな、だって、言う気はなかったのに。
頭がどんどん真っ白になり、変な汗が出る。どうしよう、今更冗談だというにはあまりにも遅すぎる。とりあえず、彼女に謝らないと。もし叶うなら、恋人関係を続けてもらう打診を、
気づけば、顔を真っ青にして千夏の前で正座をしていた。変態だと思われたかもしれない、嫌われたかもしれない。数えきれない絶望で、頭がおかしくなりそうだった。
「しゅう、」
「千夏、本当にごめんなさい…!き、気持ち悪かったよね…引いたよね!?でもお願いだから、お願いだから別れないでください…っ!」
意図しない涙が次から次へと溢れてくる。
千夏に捨てられるかもしれない恐怖に苛まれ、僕は床に額を擦りつけた。
そんな僕に届いたのは、彼女の深いため息だった。
(やっぱり、)
背中に冷たい汗が流れる。
やっぱり引かれたんだ。そう絶望した僕の耳に千夏の落ち着いた声が届いた。
「…ねえ、柊斗。顔上げて」
「う、うぅ……嫌わ、ないで……」
「嫌ってないから。むしろ、『ちょうどいいな』って思ったぐらいだし」
「え…?」
涙で視界が滲む中で顔を上げると、千夏がふっと口元を緩めて僕を見ていた。その笑みはいつもと変わらない。緩く上げられた彼女の口角がやけに目を引いた。
「私、最初から柊斗の『目』に惚れて付き合ったんだよ。形も整ってるし、感情がすぐに出るところも最高に綺麗。……私、重度の『目』フェチなんだよね」
……え? 今、なんて言った?
千夏が、目フェチ、?
僕の目が、好き?
あまりの衝撃的な告白に、僕の脳内は完全にフリーズしてしまった。そんな僕のリアクションを見て、千夏が「ぷっ、あははははっ!!」と楽しそうに笑い声を上げる。
「え、え…?僕の、目が好きなの?」
「んふふ…うん。そう。柊斗の目が大好き」
千夏の指先が僕の目元を優しくなぞり、涙を拭ってくれる。
「だから、お互い様。ほら、私たち似た者同士じゃん」
その言葉が頭に染み込んできた瞬間、世界が明るくなった。今度は嬉しさと安心感で涙が止まらなくなり「千夏〜!」と彼女の腰にしがみついた。
お互いがなかなかに拗らせたフェチズムの持ち主であることが判明した、忘れられない朝だった。
それからというもの、僕たちは互いのフェチを隠すことなく、むしろ存分に尊重し合いながら付き合い続けた。
大学を卒業してそれぞれ就職したのを機に、僕たちは同棲を始めた。
自宅ではないものの見慣れた天井に、すぐに千夏の家であることが分かった。
(あたま痛ぁ…。えっと、昨日は、)
昨夜の記憶を思い出そうとした瞬間、昨夜の出来事が鮮明にフラッシュバックした。
__そう、ずっと隠していた秘密を彼女に打ち明けてしまったことも。
僕は一気に血の気が引くのを感じた。そんな、だって、言う気はなかったのに。
頭がどんどん真っ白になり、変な汗が出る。どうしよう、今更冗談だというにはあまりにも遅すぎる。とりあえず、彼女に謝らないと。もし叶うなら、恋人関係を続けてもらう打診を、
気づけば、顔を真っ青にして千夏の前で正座をしていた。変態だと思われたかもしれない、嫌われたかもしれない。数えきれない絶望で、頭がおかしくなりそうだった。
「しゅう、」
「千夏、本当にごめんなさい…!き、気持ち悪かったよね…引いたよね!?でもお願いだから、お願いだから別れないでください…っ!」
意図しない涙が次から次へと溢れてくる。
千夏に捨てられるかもしれない恐怖に苛まれ、僕は床に額を擦りつけた。
そんな僕に届いたのは、彼女の深いため息だった。
(やっぱり、)
背中に冷たい汗が流れる。
やっぱり引かれたんだ。そう絶望した僕の耳に千夏の落ち着いた声が届いた。
「…ねえ、柊斗。顔上げて」
「う、うぅ……嫌わ、ないで……」
「嫌ってないから。むしろ、『ちょうどいいな』って思ったぐらいだし」
「え…?」
涙で視界が滲む中で顔を上げると、千夏がふっと口元を緩めて僕を見ていた。その笑みはいつもと変わらない。緩く上げられた彼女の口角がやけに目を引いた。
「私、最初から柊斗の『目』に惚れて付き合ったんだよ。形も整ってるし、感情がすぐに出るところも最高に綺麗。……私、重度の『目』フェチなんだよね」
……え? 今、なんて言った?
千夏が、目フェチ、?
僕の目が、好き?
あまりの衝撃的な告白に、僕の脳内は完全にフリーズしてしまった。そんな僕のリアクションを見て、千夏が「ぷっ、あははははっ!!」と楽しそうに笑い声を上げる。
「え、え…?僕の、目が好きなの?」
「んふふ…うん。そう。柊斗の目が大好き」
千夏の指先が僕の目元を優しくなぞり、涙を拭ってくれる。
「だから、お互い様。ほら、私たち似た者同士じゃん」
その言葉が頭に染み込んできた瞬間、世界が明るくなった。今度は嬉しさと安心感で涙が止まらなくなり「千夏〜!」と彼女の腰にしがみついた。
お互いがなかなかに拗らせたフェチズムの持ち主であることが判明した、忘れられない朝だった。
それからというもの、僕たちは互いのフェチを隠すことなく、むしろ存分に尊重し合いながら付き合い続けた。
大学を卒業してそれぞれ就職したのを機に、僕たちは同棲を始めた。