Ribbon ~囚われた天使~
「なににする?おすすめはパン付きのチーズオムレツだよ」

食堂はショッピングモールのフードコートくらいの広さがあって、有名なチェーン店がいっぱいある。
なんかもう・・・呆れるのも飽きて、慣れてきちゃった。

「じゃあ、それにします」

なんのお店があるのかよく分からないので、とりあえず燦くんおすすめのオムレツにすることにした。
少しお高めで、いつもなら入れないようなお店。
1人で1000円こえるご飯なんて、久しぶりだ・・・。
しかもタダだなんて、両親を連れてきたい。

「・・・澪・・・?」

「え?はい、なんでしょう」

なんだか燦くんが寂しそうに見つめてくるので首をかしげると、何故か朧くんが顔をそむけた。
え、なになに・・・私、もしかしてまたやらかした?

「なんでタメ口やめちゃったの・・・?」

「・・・あ」

そうだった、忘れてた。
でもやっぱり、先輩にタメ口なんて違和感しかないんだよなぁ。

「気を付け・・・るね」

「うん」

満足そうに頷いて注文に行く燦くんに、先輩方は少し呆れたように苦笑した。

♡───────────────────────♡

「俺の母親はさ」

センスはしっかりある燦くんのおすすめオムレツを食べていると、不意に隣に座る慧伊くんが口を開いた。
笑弥くんの話だろう。朧くんが目で頷いたから、食べるのをやめて慧伊くんを見つめる。

「犬人なんだけど一族内で、俺の父親とは恋愛結婚なの」

いつも元気な慧伊くんが、静かに目を伏せた。
伝統的な人外種の一族で恋愛結婚は、たしかに問題が起こりそう・・・。

「で、笑弥の母親も俺の父親のこと狙ってて。そりゃ本家の当主だもん、結婚出来たら犬人№2だし。でも俺の父親は、俺の母親を選んだ」

・・・だいたい話はよめた。
親族内で、しかも自分の母親がそんな立場だったら、息子の慧伊くん自身も辛いことがあっただろう。

「そのせいで笑弥の母親は俺と俺の母親を目の敵にして。俺の目の前で父親に色目使ったり、俺に直接俺の母親の悪口言ってきたり・・・そのせいで笑弥も半分洗脳状態で」

・・・それは、笑弥くんのお母さんが悪いよ。
笑弥くんはきっと・・・幼いころから、慧伊くんや慧伊くんのお母さんの悪口を言い聞かされて来ただけの、被害者だろう。
だって慧伊くんも、笑弥くん個人は嫌っていないように見える。
にしても、恋敵の息子にそんなことするなんて・・・。
慧伊くんも、慧伊くんのご両親も、笑弥くんも、笑弥くんのお父さんも、気の毒でならない。

「笑弥のことは嫌いじゃないよ。誰でも、あんな母親に育てられたらああなる」

目を細めてそういう慧伊くんは数腰大人で、なんだか胸が痛くなる。
慧伊くんなりの葛藤があるんだろうな・・・。

「でもやっぱり・・・自然と敵対しちゃうんだ。笑弥は悪くないのに」

「・・・うん」

苦しそうに目を瞑る慧伊くんの肩をポンポンと優しく叩く手・・・手?誰の?
私以外全員ご飯食べてるけど・・・。
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