Ribbon ~囚われた天使~
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「凛牙くん・・・」

「ん?資料の入力終わったか?」

凛牙くんに声を掛けると、キーボートをノールックで打ちながらこちらを見てくれる。
今は資料の入力じゃなくて・・・。

「全部終わりました・・・!」

「・・・はっ?」

さすがにこれは誇っていいんじゃないかと胸を張る。
すると、凛牙くんだけでなく、燦くんまでもが大きく目を見開いた。

「え、いや・・・今週中に終われば、」

そんなに言葉に詰まられても。
だって、期限中だったらはやく終わった方がいいでしょう?

「・・・人間?」

「人間だよ・・・!」

人外種の凛牙くんにそんなこといわれるなんて・・・これは誉め言葉として受け取っていいのかな?
凛牙くんが嫌味なんていうはずないけど・・・。

「会長」

「そうだな。澪李の仕事が終わったから全員帰るぞ」

えっ・・・そんな、私に合わせていいの?
それとも、私が仕事終わるの待ってた・・・⁉

「よし、帰ろ」

燈羅さんまで・・・。
ツートップがそう言ったことで、もう全員立ち上がってカバンを持ってしまった。

「澪、こっち」

パソコンを閉じてジャケットを腕にかけた凛牙くんに呼ばれ、さっき教えてもらえなかった扉の前に行く。
ここって、なににつながる扉なんだろう・・・。
重そうな扉を一気に凛牙くんが開け、その扉の向こうにあったのは暗闇・・・。
パチンと電気がつき、出てきたのは通路だ。

「えっと・・・」

これは行け、という意味なんだろうか。
ちょっと未知の通路は怖いかも・・・明るいからまだマシだから。

「あはは、初めての道でレディーを先頭にはしないよ。ついておいで」

どうしたらいいのか分からず困惑していると、紳士な燈羅さんが笑いながら通路に入って行った。
煌夜先輩と緋瑠先輩も続き、私も燦くんと一緒に通路を進む。
数十メートル右や左に曲がると、着いたのは・・・。

「寮・・・?寮だ・・・!」

なんと扉は直接、生徒会寮に繋がっていたのだ。

「便利でしょ。生徒会は仕事が長引くこともあるからね」

と慧伊くんが言ってニッコリ笑う。
そっか・・・生徒会のお仕事は大変っていうのが、さっき分かったからなぁ。

「あ!澪、このあと時間あるか?歓迎会しよう!」

「えっ・・・いいんですか!」

緋瑠先輩の素敵な提案に時間を確認すると、まだ3時半。
まさか歓迎会をしてもらえるなんて・・・!
人外種の人たちってもっと気高いと思ってたけど、生徒会の人たちも笑弥くんも、すごくいい人だ。
人間の私にも優しく接してくれて、偏見を抱いていたことを深く反省する。

「じゃあ、このあと全員で買い出しな!」

「えっ・・・全員?」

まだ私以外反応してないし、全員参加は・・・そんな都合よく合うかな・・・?
それに、そもそも参加したくない人もいるかもしれないし・・・。

「もちろん全員参加するに決まってるだろ。澪李、着替えておいで」

首をかしげているとすぐに煌夜先輩がそう返し、部屋に入って行った。
え・・・みんな参加してくれるの・・・⁉

「着替えてくる~」

煌夜先輩に続くようにみんな自分の部屋に入っていき、最後に凛牙くんが残る。
凛牙くんも参加・・・いいのかな・・・?

「澪、・・・これ」

「ん?・・・ルームキー?私持ってるよ?」

部屋に入らず立っている凛牙くんが差し出してきたのは・・・ルームキー。
でも私は学園長先生からもらってるし、それも凛牙くんは知っているはず。

「そうじゃなくて・・・俺のルームキー」

・・・えっ?
なんで凛牙くんが私に、自室のルームキーを?
なんで私が、凛牙くんのルームキーを?

「なんかあった時に・・・インターホンじゃ間に合わないかもしれないから。俺もいないかもしれないし。だから、なんかあったらインターホン押さずに入って来て」

あ・・・心配してくれているのか。
『特別待遇』の生徒会寮でなにか(●●●)起こるとは思えないけど・・・。

「ありがとう・・・?じゃあ、御厚意に甘えて。・・・はい、これ」

「・・・なに、これ」

「え?私のルームキー。交換だね!じゃあ、またあとで!」

凛牙くんがルームキーをくれたんだから、私もあげるべきだろう。
カバンに入っているスペアのうち1枚を引き抜いて凛牙くんに渡し、私も自分の部屋に入った。



「警戒心なさすぎ・・・」

1人残された凛牙くんが、廊下でそんなことを呟いてため息をついているとは知らずに。
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