Ribbon ~囚われた天使~
「朧くん、弟くんのこと大好きなんだね」

弟くんの話をしている時の朧くん、いつもよりもすごく目が柔らかい。
宝物について語っているような、そんな幸せに満ち溢れた横顔だ。

「いや・・・大好きとかじゃなくて。・・・大切なだけで」

「・・・ふふ、そっか」

たしかに『大好き』と『大切』は違うかもしれない。
でもどちらにしろ、朧くんにとって弟くんは、なくてはならない存在なんだろう。
朧くんに愛される弟くんも、幸せだろうなぁ。

「なんで急に」

「え?ううん・・・手慣れてるなぁって」

私も一緒に野菜を見比べ、美味しそうなものを必要な分だけかごに入れていく。
結構な量だけど、かご重くないのかな・・・。
細身だけど、意外と筋肉あるのかも。

「・・・なに見てんの。肉行くよ」

「はーい」

視線を感じたのか少し恥ずかしそうな朧くんについていって、精肉コーナーでお肉を物色する。
さすが高級スーパー・・・すごく本格的で高いお肉がたくさん売っている。

「澪、そこのひき肉」

「はーい・・・って黒毛和牛⁉」

朧くんの指示通り手に取ったひき肉。
く、黒毛和牛とひき肉にしちゃうの・・・。
っていうか、牛100%のハンバーグなんだ。私の家は合い挽きだから・・・。

「ちょっと先輩。飲み物とデザート見てきてください」

お肉をそろえたところで朧くんが、うしろでただついてきているだけの先輩にそう指示する。
すると先輩だけでなく、慧伊くんも『デザート』という言葉に目を輝かせ、走って行った

「凛牙くんはいいの?」

「・・・ん」

唯一こちらと一緒に行動することを選んだ凛牙くん。
料理に興味とかあるのかな・・・?

「凛牙は食べたいものとか無いの?」

「・・・特に」

ううん・・・そっか、特にないかぁ。
できれば全員が食べたいものを作りたいんだけどなぁ・・・。

「ウインナー忘れてた。取ってくる」

精肉コーナーを抜けたところで朧くんがミスを発見し、すぐに踵を返す。
こ、行動がものすごく速い・・・。

「・・・澪は?兄弟は」

「ん?いないよ、1人っ子」

両親も共働きだったから幼いころは寂しかったなぁ、と笑うと、凛牙くんが何故か顔をゆがめた。
え・・・もしかしてなにか癪に障ること言っちゃったかな・・・。

「澪は、番のことどれくらい知ってる?」

「番?・・・うーん、出逢う確率が低くて、もし出逢ったら一生添い遂げる・・・ってことくらいかな」

あまり詳しくないから、種族学を選んだんだけど。
すると、凛牙くが窺うように顔を覗き込んできた。

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