あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
第七章 二部屋
営業のときからずっと──
木曜の夕方、廊下で岡本くんに呼び止められた。
「倉橋さん、例の営業の質問の件、聞いてほしいことたまってて。今度どっかで時間もらえません?」
「あ、ごめん、ずっと流れてたもんね。じゃあ今から会議室とるよ。第三会議室、たぶん空いてるし」
スマホの予約画面を開きかけたこのみを、岡本くんが慌てて止めた。
「いやいやいや、会議室って。……ほら、会議室だと、みんなの本音とか言いにくいっていうか。飯でも食いながらのほうが、ざっくばらんに聞けるっていうか」
「そういうもの?」
「そういうもんす。月曜の夜とかどうすか。営業がよく使う店あるんで」
頷きかけて、ふと、千夏の言葉がよぎった。
──岡本くんは絶対このみのこと好きだと思うな。
(……いやいや、ない)
仕事の話に決まってる。
後輩の頼みを変に警戒するほうが、よっぽど失礼だし、自意識過剰だ。
それに、質問を溜めさせたままにしていたのは、こっちなのだ。
「わかった。じゃあ月曜に」
「っす! 店、送っときます」
月曜の定時過ぎ。
岡本くんが予約してくれた店に行くために会社を出ようとしたところで、篠宮に声をかけられた。
「倉橋さん、例の資料の件ですが、作成は問題なさそうでしょうか?」