あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
二部屋です
ホテルの隣のコンビニに、夕食を買いに寄った。
このみが棚を眺めていると、篠宮のカゴが視界に入った。
おにぎりが二つ。
梅と、鮭。
(……ほんとにおにぎり食べるんだ)
このみの視線に気づいた篠宮が言う。
「なんですか」
「いえ。本当におにぎりだけなんですね。お弁当とか、そういうの買うのかと思ってました」
「普段から仕事しながら食べるので、片手で食べられるのがいいんです」
大真面目な声だった。
このみは笑いをかみ殺して、自分のカゴに焼き魚のお弁当を入れた。
レジの手前で、篠宮が飲み物の棚から缶コーヒーを二本取って、一本をこのみのカゴに入れた。
微糖の、あの平凡な銘柄だった。
「今回は、当たりではありません」
「……買ったんですね、普通に」
「出張なので、例外です」
お約束にしないでください、と言ったのは残業後のコーヒーのことで、例外と言い張るならもう何も言えない。
このみは細かいことを考えるのをやめて、レジに並ぶ。
店の奥に、二席だけのイートインがあった。
ホテルの部屋で一人で食べます、と言うタイミングを逃して、気づいたら丸椅子に並んで座っていた。
篠宮は、梅から食べた。
鞄からパソコンなどを出さないところを見ると、今日は仕事をしながら食べるつもりはないらしい。
ただ、篠宮から話しかけてもこない。
「戸倉さん、変わりましたね」
沈黙がもたなくて、このみが言った。