あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

五年前から、この人の手元に、うちの会社の付箋があったのだ。
私の作った項目に、うちの製品が貼られたまま、五年間、何度も開かれていた。
小口の毛羽立ちが、その回数を教えていた。

本当にあなたは、昔から変わらずそういう人なんですね──渡り廊下のあの言葉の意味が、五年越しに、やっと分かった。

削られた日のことは、今でも鮮明に思い出せる。
役員会から戻った部長の疲れた顔。
この項目を外せ、という指示に、一度だけ反論した。
数字にならないものを評価に入れるのは甘えだ、と言われた。
どうしても、それが受け入れられなかった。

結局、私は育成貢献を消した。
評価制度は、完成版だけが社内に展開された。
この書類は世界のどこにもないことにして、三年間、人事の窓口として働いた。

「改定履歴の実務担当者欄で、名前を見つけました。倉橋このみ。……指名の理由を、以前、半分だけ話しました。残りの半分がこれです。原案の書き手が、書いたときのままの人かどうか、確かめたかった」

「……私は」

喉が動いて、それだけ言って、止まった。

「削られたとき、一度は食い下がったと聞いています」

顔を上げた。

「誰から、それを」

「それは、今は秘密にさせてください。ただ、あなたにとって悪い話ではないはずです」

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