【恋愛×サスペンスホラー】イケメン年下後輩くんは、私の耳を溺愛する
「笑いごとじゃないんですよ、大問題です。フェチのイメージが悪くなって。そもそも耳ってのは本体があるからいいんであって!」

「本体って」
 私がまた笑うと、彼ははっとして恥ずかしそうにうつむいた。

「すみません、ますます変態ですよね」
「伊原くんは健全なフェチでしょ」

 私が言うと、彼は、えへへ、とかわいく笑った。年上にかわいがられるツボを押さえている気がしてならない。


 
 お開きになって外に出ると、二次会に行く人と駅に向かう人で別れた。
 私だけがみんなと別の駅なのだけど。

「俺、送ります」
 伊原くんが私についてきた。

「帰るの遅くなっちゃうよ」
「殺人鬼が捕まってないし、すっごく心配です」

「じゃあ、お言葉に甘えて」
「やった!」

 彼の顔がぱあっと輝いて、どきっとした。

 好意があるって勘違いしちゃいそう。
 先輩として慕ってくれてるだけなんだから。

 自分に言い聞かせて駅に向かう途中。
 次第に伊原くんの足が遅くなり、やがては止まってしまった。

「どうしたの? 気分悪くなった?」
「……このままだと駅に着いちゃうんで」

 しょんぼりする伊原くんに、私は首をかしげる。
 彼はなにか言いたそうに、だけど悩むようにうつむいてしまう。
< 2 / 15 >

この作品をシェア

pagetop