きみがすきなもの、ぼくがすきなもの。
第8話:きみがすきなもの、ぼくがすきなもの。
ふたりが恋人同士になってから初めて迎える、春。
あれから、月に一度のローカル線の旅は終わっていないけれど、その意味は少しだけ変わった。
「ねえ、見て! 今度のフリーマーケットで、このヴィンテージの水筒を見つけたんだ!」
「うわ、本当だ、めっちゃかっこいいじゃん……。あ、そうだ加奈ちゃん、今度は僕、新しいパウンドケーキのレシピを考えてきたんだよ。今度のアパートで一緒に焼こう?」
駅前のベンチ。
加奈のリュックには、あのとき貫太にもらったバイクのキーホルダーが揺れ、貫太のバッグには、加奈がプレゼントした無骨なレザーのチャームがついている。
世間の「普通」という物差しから見れば、少しだけあべこべかもしれない。
女の子なのに男っぽいものが好きで、男の子なのに女っぽいものが好き。
そんな自分たちの凸凹な部分を、お互いに隠す必要なんて、もうどこにもない。
「ねえ、貫太くん」
「ん?」
「これからも、ふたりの『好き』を、ずっと一緒に分け合おうね」
「うん。当たり前だよ、加奈ちゃん」
きみがすきなものを、ぼくも大切にしたい。
ぼくがすきなものを、きみと一緒に笑いたい。
正反対で、よく似たふたりの歩幅は、これからの未来へ向けて、しっかりと重なり合っていった。
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☆.*・゚┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈゚・*.☆
初めてこんな気持ちを知った。
初めてこんなおもいを知った。
初めて知ることばかり。
きっと、君に会うために恋旅に来た。
☆.*・゚┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈゚・*.☆
執筆開始:2026.8.11
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紫陽花の恋人たち 限定!
あの物語の登場人物たちのその後、気になりませんか?
ちょっとだけ覗いてみましょう――。
本編の幕が下りたあと、あのとき彼らはどう過ごしているのだろう。
あの日交わした約束の続きはどうなったのだろう……。
そんなふうに、物語の余韻に浸りながら
ふと気になったことはありませんか?
読者の皆様からいただく温かい感想や
「もっと彼らの姿が見たい!」という嬉しいお声をいただくたびに、
私自身も登場人物たちのその後の世界へ
もう一度飛び込みたい気持ちでいっぱいになります。
本編では描ききれなかった日常のワンシーン。
ここでしか読めない特別な時間をたっぷりご用意しました。
あのキャラクターは今どんな夢を追いかけているのか、
大好きなあの人とどんな風に笑い合っているのかを想像すると、
執筆している私自身も胸がときめいて仕方がありません。
皆様からのたくさんの愛に応えたいという思いから、
特に多くの読者様に応援していただいた作品を中心に、
心を込めて続編やスピンオフを執筆しています。
また、新しい物語が無事に完結を迎えたあかつきには、
温めていた続編の更新を次々と進めていく予定です。
それぞれのキャラクターたちが織りなす
新しい物語のかたちを、ぜひ楽しみに待っていてくださいね。
もちろん、すべての作品に番外編があるわけではなく、
物語の結びとして綺麗に完結しているものや、
あえて書かないものもございます。
それぞれの作品が持つ独自の空気感を大切にしていきたいので、
その点だけはどうかご了承くださいませ。
でも、だからこそ、番外編やアスターストーリーとしてお届けできる瞬間は、
私にとってより一層かけがえのない宝物のような時間になります。
梅雨の時期にしっとりと咲き誇る紫陽花のように、
雨の日も晴れの日も、
皆様の心にそっと寄り添えるような
温かい物語をこれからも届けていきたいと思っています。
ページを開けばいつでもあの懐かしい世界に戻れる場所、
そして登場人物たちが生き生きと動き出す場所として。
それでは、甘く切なく、
そして愛おしい登場人物たちの
その後の世界へ、準備はいいですか?
どうぞゆっくりと扉を開けて、素敵なひとときをお楽しみください――。
from紫陽花の恋人たち🌸☔
by紫陽花
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✮ ․ ⁺ ✧ ⸝⸝ * ⊹ ₊ ˙
初めて恋をしたのは、10歳年下のキミでした。
✮ ․ ⁺ ✧ ⸝⸝ * ⊹ ₊ ˙
羽山麗奈は、少し大人びた十八歳の高校生。
ある日、母親のいとこにあたる
八歳の少年・橘健太を預かることになる。
健太は甘えん坊で、麗奈にべったり。
「麗奈ちゃんのことが好き!」
無邪気な笑顔を向ける小さな男の子に、
麗奈は戸惑いながらも、
いつしか胸の奥が温かくなるのを感じていた。
物心ついた頃から恋愛とは
無縁だった麗奈にとって、それが初めて知る。
「誰かを特別に愛おしいと思う気持ち」
――つまり、初めての恋だった。
年の離れた、しかも血のつながった親戚。
超えられない壁を前に、
麗奈はその切ない恋心を誰にも告げず、
ただ胸の内にそっとしまい込むしかなかった。
それから十年後。
麗奈は二十八歳の社会人となり、
あの日の淡い切なさを懐かしい
思い出として日々に埋もれさせていた。
しかし、ある日のテレビ画面が、
その平穏な日常を鮮やかに塗り替える。
画面の中に映っていたのは、
かつての面影を残しながらも、
見違えるほど背が高くなり、
この世界でいちばん眩しい笑顔を浮かべる
大人気俳優の姿――橘健太だった。
驚きに目を見張る麗奈の元に、ある日突然、
トップスターとなった健太がプライベートで現れる。
「ずっと、麗奈ちゃんに認めてほしくてここまで来たんだよ」
少年だった頃の甘えん坊な面影を残したまま、
男の色気と圧倒的な包容力をまとった健太が、
真っ直ぐな瞳で麗奈にそう告げる。
実は健太にとっても、麗奈は人生で初めての、
そしてずっと変らない唯一の恋の相手だったのだ。
十年の歳月を越えて、幼い日の秘密の恋が再び動き出す。
立場も環境も変わった二人が、まばゆいスポットライトの陰で、
もう一度お互いの本当の気持ちに向き合っていく、
甘く切なくもドラマチックな年の差ラブストーリー。
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