甘い初恋を、もう一度。
「か、れんちゃん…」

切なさそうにそう言う城島くん。

「っ、華恋!!」

今1番聞きたくない、愛おしい声が聞こえた。

「あ…やとさん…」

わたしのこすれた声が路地に響いた。

せめて、嫌いなら、言って欲しかった。

優しくされなければ、わたしは綾人さんのことを想わなかったのに…。

「っ…」

城島くんとわたしがいるところをみて、綾人さんはごくりと息を呑んだ。

そして、回れ右をする綾人さん。

待って、綾人さんっ…。

「…華恋ちゃん。行ってきな」

とんっと背中を押された。

行かなきゃ…一生後悔する…。

「…綾人さん!待って!」

「…っ。うるさい。俺に話しかけるなと言っただろっ」

手を振り払われるわたし。

ねえ、綾人さん。

なんで、そんな苦しそうな表情をするんですか…?

そんな表情されたら…わたし…。

「す、好き!です!」

もうチャンスはない、と思って勢いよくそう言ってしまった。

「っ…、は?」

「あ、綾人さんのことが、好きです!」

わたしはそのまま方向回転して、走った。(つまり、逃げた)

< 59 / 101 >

この作品をシェア

pagetop