キスから始まる恋は甘くて苦い
「料理、好きなの?」

 手際の良さを見ると普段からしているんだろうなとは思った。

「そうですね。でも、お菓子作りの方が好きです」

 ほたるの答えに、蒼一は動きを止めて。

「ふうん、そう……」
「どうかしましたか?」
「んー……もしかして、将来そういう関係の仕事をしたいとか思ってる?」

 おもむろに片肘をテーブルに乗せ頬杖をついた。

「えっ……どうしてわかるんですか?」
「うん? まあ、なんとなく」

 ほたるは、驚いて目を見開いた。

 母親がパティシエールだからな。

 心の中でつぶやいた蒼一が不思議な偶然に目を細める。

「実は理系に向いてるんじゃないか?」

 料理は科学だ、なんて言葉もあるくらいだ。ほたるは「まさか」と否定したけれど、たぶんそうだろう。
 女性は文系、男性は理系が得意という感覚は単なる固定観念にすぎない。
 もしほたるにその先入観があるのなら、それを取り払ってあげたいと蒼一は思った。
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