キスから始まる恋は甘くて苦い
「お待たせしました」

 ほたるは視線には気づかずハヤシライスの乗った皿を運んできた。

「ありがとう」

 テーブルの上にマカロニサラダとポトフが追加される。

「いただきます」
「いただきます」

 向かいにほたるが座り、ふたりは手を合わせた。安定した美味しさに「うまいよ」と告げる。ほたるは恥ずかしそうに微笑んだ。

「おかわりもありますよ。たくさん作ってあるので」
「じゃあ、遠慮なくいただくよ」

 今日は一段と厳しい稽古になってしまいお腹はペコペコだった。省吾のげんなりした顔を思い出して蒼一は密かに笑んだ。

 怒ってんのは、不甲斐ない自分になんだよ。

 肝心なところで護れないなんて……情けなさと悔しさで容易に自信がなくなる。今だって、いつこの関係が終わってもおかしくないと怯えている。

「ごちそうさまでした」

 片づけを手伝い、一段落してお茶を喉に流し込む。リビングのソファに座るように言われて蒼一は腰を下ろした。

「来てくれてありがとうございます」
「……こちらこそ。晩飯、ありがとう」

 ほたるが隣に座ってきて、蒼一は距離を空けて座り直した。
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