キスから始まる恋は甘くて苦い
「たった数日会わないだけで久しぶりな気がしますね」
「そうだな」

 青いワンピースの私服姿が目新しく、蒼一は直視しないようにわざと視線を逸らした。

「蒼一さん」

 それなのにほたるが手を重ねてきてビクリと体が反応してしまう。

「またあんなことになったらどうすんだよ……」
「大丈夫です」
 
 そっと振り払っても、再び重ねてくる小さな手。

「いや、俺が良くない」
「いいんです。蒼一さんなら」
「…………」

 まっすぐな視線に困惑する。蒼一は静かに唾を呑み込んだ。

「そ、蒼一さんのことが好きだから」

 声を上ずらせ目に涙を溜めている。そんなほたるを、驚いた顔で見つめ返す。

「今さら、ですよね」

 返事をできないでいるとほたるは目を伏せた。

「いや、ちょっと待って……」

 ずっと、そうだといいと思っていた。勘違いしそうになったこともある。でも、実際言葉にされると戸惑いの方が先立ってしまう。

「夢じゃねえよな?」

 これまでのことが脳裏に駆け巡る。「好かれている」ことを前提で思い返してみると、思い当たる節がないこともない。
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