キスから始まる恋は甘くて苦い
 あれから時間が経ってだいぶ落ち着いたと思っていたのに。
 あの子が突然現れた。
 下級生ということもあってか周りは言いたい放題。
 群れを外れる度胸も告白する勇気もないことを棚に上げて、他人を吊し上げようと必死だ。
 でも、こういう話を耳にすると……当時の自分も何を言われていたかわかったものじゃない。

 受験があるんだから無駄な労力使うことないのに。

 なんて、おまえが言うなって感じだけど。

 蒼を散々振り回して、愛想を尽かされたあたしには……

 みんなを非難する資格なんてない。

 口出しする権利もない。

 でも、蒼はあの子に本気だ。

 もし、上手くいかないようなことがあって立ち直れなかったら……誰が彼を支えるのだろう?

 そのとき、蒼をなぐさめる資格は――あたしにはないんだから。


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