キスから始まる恋は甘くて苦い
「やっぱ、サラダでも作ってもらおうかな」
「はいっ」

 仕事を得たほたるがカウンターキッチンの中へ入ってくる。

「手を洗うのは……」
「ここでいいよ」

 シンクの前で腕まくりをすると蒼一が後ろから覆いかぶさってきて。

「えっ!?」
「一緒に洗った方が早い」

 両手を丁寧に洗い始めた。

「くすぐっ、たい……です」

 ほたるが身じろぎして、動きを止める。

 これは……調子に乗りすぎたかもな。

 じゃれるのも早々に切り上げ、蒼一は泡を洗い流して冷蔵庫を開けた。

 思ったより、ヤバかった……

 冷気を浴び、そんなつもりで連れ込んだわけじゃないと言い聞かせる。

「ざ、材料は……何を使えばいいですか?」

 ほたるは頬を赤らめ、恥ずかしそうに上目遣いをしてくる。

 これ、狙ってねえんだよな?

 計算を疑うほどの可愛さにじっと目を見返す。と、ほたるは左右に目を泳がせた。

 テンパってんな?

 素で照れていることがわかって、蒼一は抱きしめてしまいたい衝動を必死に抑えた。

 俺のこと、信頼してるから警戒しないんだよな?

 だったら、その気持ちを裏切るわけにはいかない。

「好きなもん使っていいよ」
「わかりました」

 野菜室を開け、野菜の選別を始めるほたるから目を逸らす。

 焦るなよ、俺……

 蒼一は、気持ちを落ち着かせるように火照った首筋へ手を当てた。


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