キスから始まる恋は甘くて苦い
「着いたよ」

 白い戸建ての前で立ち止まる。こじんまりとしているけれど、庭が広くて青々とした芝生が目に優しい。
 脇に蒼一の自転車が置かれているのが見えた。

「ここが、先輩の……」

 ほたるは、この家で育ってきた幼い蒼一を想像してしまった。なんだかくすぐったい気持ちになる。

「おじゃまします」

 リビングに通され荷物を置く。ほたるは適当に座ってと言われてカーペットの上に腰を下ろした。

「ミルクティーでいい? 麦茶もあるけど」
「はい、ミルクティーでお願いします」

 キッチンから蒼一に呼びかけられ、答える。

「どうぞ」

 ローテーブルにグラスを置いた蒼一が再びキッチンへと戻っていく。

 好きな飲み物、覚えててくれたんだ。
 
 細かな気遣いに、嬉しくて自然と口元がほころぶ。

「いただきます」

 冷たくて、ほのかに甘くて。

「おいしい」
「だろ?」

 ほたるの反応に満足した蒼一は自分もミルクティーを口に含んだ。

「昼飯、適当でいい?」
「あっ、はい。手伝います」

 考えなしについてきてしまって、ほたるは慌てた。

「いや、レトルトのカレーあっためるだけ……」

 断ろうとして蒼一は思い直した。
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