選ばなかった人生

 私はその場に一人で立っていた。
 不思議と涙は出なかった。
 ただ胸の奥が痛かった。
 そしてようやく気づいた。
 私は子供が嫌いだったわけではない。
 母親であることに疲れていた。
 夫に腹を立てていた。
 自分の時間がなくなったことが苦しかった。
 自由が欲しかった。
 それは全部本当だった。
 でも、
 
 それとあの二人を愛していたことは別の話だった。

 私はずっと同じものだと思っていた。
 子供を愛しているなら、母親でいることを幸せだと思わなければいけない。
 母親がつらいなら子供を愛していない。
 そんなふうに。でも違った。
 私はあの子たちを愛していた。
 愛していたからこそ苦しかった。
 そして私は苦しさから逃げるために、愛していたものまで手放してしまった。


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