選ばなかった人生

 次の瞬間白い光に体全体が包まれた。
 目を開けると知らない部屋にいた。

 ここは…
 よく見ると独身の頃に一人暮らしをしていたアパートだった。
 まさか!本当に?
 慌てて鏡を見る。
 若い…
 肌に艶と張りがある。髪もサラサラで背中まである。
 20代前半の姿だろうか?
 独身の頃の自分だった。
 スマホを見る。写真を開いても、夫も、娘も、息子もいない。
 最初は怖かった。
 夢か現実かの区別もつかない。
 何度も鏡を見た。
 テレビをつけると昔のドラマや情報が流れてる。
 テーブルに置かれたマグカップは若い時に使っていたお気に入りのものだった。

 本当に過去に戻ったのかもしれない。
 暫く悩んだが、次第に心が軽くなっていく。
 意を決した私は服を着替えると、パンと両頬を叩いた。

 「よし!」

 この際夢でも現実でもどっちでもいい。
 こんなことはもう2度と起きることはない。
 私は行く。新たな人生を…
 
 そして玄関の扉を開け、新しい一歩を踏み出した。
 
 
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