恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで
あっ、違うわ。
イザベラは、ユリウスのことで頭を悩ますことはあっても、胸に不調をきたすことはない。
ましてや、彼のことを考えて、眠れないなんてことは一度もない。むしろ、今は来月の家賃の支払いのことを考えるだけで寝付けなくなるほどだ。
イザベラは少し考え、これはあまり参考にならないなと、要約した会話の内容に二重線を引いた。
女性たちの会話を聞いていたおかげでだいぶ長居してしまったので、イザベラは立ち上がり、食堂を後にした。
「イザベラさーーん」
食堂から研究室に戻る途中、聞き覚えのある声で呼ばれ、立ち止まる。
振り返ると、ジョシュアがいつものように手を振りながら、笑顔で駆け寄ってくる。
「こんにちは、ジョシュア君」
「こんにちは、イザベラさん。今日はイザベラさんにプレゼントがあるんです!!」
やけにご機嫌なジョシュアは、抱えていた箱をイザベラへと差し出す。
「...プレゼント?」
差し出された箱に視線を落とし、イザベラは小さく首を傾げた。