恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで
桜が舞い散る中庭の噴水近くのベンチにイザベラはジョシュアと隣り合わせで座った。
「うわぁっ、すごい...!」
受け取った箱を開けると、クッキーが箱いっぱいに詰められていた。
アイスボックスクッキー、アイシングクッキー、型抜きクッキー、ジャムサンドクッキーなど様々な種類がある。
「これ、全部ジョシュア君が作ったの?」
「はい!イザベラさん、甘いものがお好きと以前仰っていたので、練習しました」
そんなこと言ったっけってイザベラは記憶を巡らせるも思い出せなかった。
しかし、前回のデートでは何故ジョシュアがイザベラのことを好きになったのかを考えることに必死になっていたので、実のところどんな会話をしたのか殆ど覚えていない。
だから、ジョシュアがそう言ったのなら、そうなのだろうとイザベラは笑顔で誤魔化した。
「すごいね。一つ、食べてみてもいい?」
「一つとは言わず、全てイザベラさんのために作ったので、全部どうぞ」
たくさんのクッキーの中からイザベラは花形のクッキーを選び、口に運ぶ。
サクッとした軽い食感に、程よい甘さが口の中に広がる。
「美味しい!」
「本当ですか!?嬉しいです!!」
純粋な感想を述べると、ジョシュアは犬みたいに尻尾を振ってそうに喜びを見せてくれた。