恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで


確かに、イザベラはもう少し甘いほうが好みなのだが、まさかユリウスがそのことを知っていたとは意外である。


「そんなことないですよ。おいしいですよ、すごく」


しかし、作ってくれた本人の前でそんなこと言えるはずないので、イザベラはまた一枚、口の中に入れる。

ついでにユリウスの口の中にももう一枚入れると、ゆっくりと咀嚼している。

この人ちゃんとお昼ご飯食べたのかなと心配になり、ユリウスにもう一枚食べさせようとすると、左隣から視線を感じた。

三枚目をユリウスの口に押し込み、振り向くと、ジョシュアが苦笑いとも困惑ともつかない顔でイザベラを見ていた。

今まで見たことない表情にイザベラはとんでもないことをしてしまったと気付く。

このクッキーはジョシュアがイザベラに作ってくれたものだ。

それをジョシュアの許可なく他人に食べさせるのはすごく失礼な行為にあたる。


「ご、ごめんね。ジョシュア君。勝手に先生に食べさせて...」


条件反射でついユリウスにクッキーを与えてしまったことを謝罪すると、ジョシュアは複雑そうな面持ちのまま首を振る。


「...いえ、イザベラさんが喜んでくれてるなら、それでいいです」


気にしてないとも取れる発言だが、表情も暗いし、声もなんとなく硬い。

やってしまったとジョシュアを傷つけてしまったことに、イザベラは申し訳ない気持ちになった。


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