恋を知らない天才魔術師が、惚れ薬を作るまで


「...それよりもお前、今までどこをほっつき歩いていた」


今度は右隣から声をかけられたので、そちらを向くと、ユリウスが無愛想な表情のままイザベラを見下ろしている。

ユリウスがイザベラの所在を気にするなんて珍しいなと思いつつ、イザベラは素直に答えた。


「どこって...、食堂に行っていました」

「何のために」

「えっ、食事をしに行ったんですけど……すみません、わたしは先生と違って、食べないと頭が回らないので……」


それにしても、今までにない変な質問をしてくるんだなと違和感を感じた。

もしかして研究室を出る前に何か不手際をしてしまったのではないのかとイザベラは少し不安になった。

そうでないとユリウスが不在のイザベラの所在を気にするはずがない。


「もしかして、何かありましたか...?」

「.........」


何も答えてくれないユリウスがイザベラの不安を煽ってくる。


「まさか、何か不備でも?それとも何か足りないものでも?」

「...別に、お前が気にすることではない」


煩わしそうにそっぽ向かれ、イザベラはますます不安になる。


「そんなはずないですよね!?絶対何かありましたよね!?」

「うるさい、お前には関係ない」

「なんで、今日はそんなに頑なに教えてくれないんですか?」

「しつこい。お前に、話すことは何もない」


今すぐにでも取っ組み合いが始まりそうな雰囲気の中、左隣のジョシュアが静かに声を落とした。


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