先輩、好きになってください

俺、きめた

体育館の片付けを終えた圭は、日向と並んで校門へ向かっていた。

「なあ、圭」

「ん?」

「今日、綾花先輩と話してた?」

「……まあ」

「何話してた?」

「なんで?」

「いや、なんとなく」

圭が日向を見る。

「気になる?」

「……別に」

「めっちゃ気になってんじゃん笑」

「うるさい」

圭は笑いながら歩く。

「まあ、普通に部活の話」

「ほんと?」

「ほんと」

「……」

日向は少し考えてから、

「先輩、なんか言ってた?」

「何を?」

「俺のこと」

「……」

圭は少し黙る。

「言ってたよ」

「え?」

日向が食いつく。

「なんて?」

「教えない」

「は?」

「本人に聞けば?」

「いや、それができたら聞いてるって」

「じゃあ諦めろ笑」

「圭、お前マジで……」

日向が睨む。

圭は楽しそうに笑った。

「でもまあ」

「ん?」

「日向、お前最近ほんと楽しそうだよな」

「……そう?」

「うん」

「別に普通だけど」

「いや、全然普通じゃない」

圭が肩をすくめる。

「前まで女子からLINE来ても既読つけて終わりだったじゃん」

「……」

「今なんて、スマホずっと見てるし」

「……それは」

「綾花先輩から?」

「……」

「図星じゃん笑」

日向は少しだけ笑った。

「……まあ」

「で?」

「ん?」

「どうなの?」

「何が?」

「綾花先輩」

日向はしばらく黙っていた。

それから、ぽつりと言う。

「……好き」

「うん」

「ほんとに好き」

圭は一瞬だけ日向を見る。

「そっか」

「だから今回は、遊びとかじゃない」

「知ってる」

「……」

少しの沈黙。

日向が前を向いたまま、静かに口を開く。

「俺さ」

「ん?」

「誰にも取られたくない」

圭が日向を見る。

「……綾花先輩のこと?」

「うん」

日向は小さく息を吐く。

「神谷先輩とか、他の誰かとか」

「……」

「絶対、俺がいい」

圭は何も言わずに聞いている。

「だから」

日向が足を止めた。

「俺、告白する」

「……お前、マジ?」

「マジ」

日向はまっすぐ前を見ていた。

「もう、後輩としてじゃなくて」

少しだけ笑う。

「一人の男として、ちゃんと好きって伝える」

圭も笑った。

「頑張れよ」

「おう」

「振られても知らんけど」

「うるさい笑」

二人はまた歩き始める。

夕暮れの校門を抜けながら。

日向はもう決めていた。

――絶対に、先輩を振り向かせる。

そして。

ちゃんと、この気持ちを伝える。
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