先輩、好きになってください
翌朝。

「おはよう、日向くん」

「……!」

校門で綾花に声をかけられる。

「お、おはようございます」

「どうしたの?」

「いや、別に」

「なんか変だよ?」

「変じゃないです」

綾花は首を傾げる。

「そう?」

「はい」

二人で校舎へ向かう。

「今日も頑張ろうね」

「……はい」

いつも通り。

なのに。

日向は昨日までとは少し違う気持ちで綾花を見ていた。

――この人に、俺は告白する。

そう思うだけで、妙に緊張する。

「日向くん?」

「はい?」

「さっきからぼーっとしてない?」

「……してないです」

「してるよ笑」

綾花が笑う。

その笑顔を見て、日向も笑った。

「……先輩」

「ん?」

「今日、放課後ちょっと時間あります?」

「うん。どうしたの?」

「少し話したいです」

「分かった」

綾花は何も疑わずに頷いた。

「じゃあ、放課後ね」

「……はい」



放課後。

日向は教室で一人、スマホを眺めていた。

「……なんて言えばいいんだよ」

そこへ圭が入ってくる。

「何してんの?」

「告白の練習」

「うわ、重症」

「うるさい」

「で、決めた?」

「……一応」

「何て言うの?」

日向は少し考える。

「俺、綾花先輩のことが好きです」

「普通じゃん」

「普通でいいんだよ」

「まあな」

圭が笑う。

「頑張れ」

「おう」

そのとき。

教室の外から声がした。

「日向くん?」

「……!」

綾花だった。

日向は立ち上がる。

「行ってきます」

「おう」

教室を出る。

綾花が笑顔で待っていた。

「日向くん、行こ?」

「……はい」

二人で歩き出す。

夕方の廊下。

いつもと同じ帰り道。

だけど今日は。

日向にとって、いつもと同じじゃない。

――今日、俺は。

この人に、ちゃんと伝える。
< 20 / 26 >

この作品をシェア

pagetop