先輩、好きになってください
放課後。
二人で学校を出る。
いつもの帰り道。
「今日、どうしたの?」
綾花が隣を歩く日向を見る。
「なんか静かじゃない?」
「……そうですか?」
「うん」
「別に、何もないです」
「ほんと?」
「ほんとです」
そう言いながらも、日向は少しだけ緊張していた。
昨日、圭に言った。
――俺、告白する。
今日こそ。
ちゃんと伝える。
しばらく歩いたところで、日向が足を止めた。
「先輩」
「ん?」
綾花も立ち止まる。
「俺、言いたいことがあります」
「……うん」
いつもと違う日向の表情に、綾花も自然と真剣になる。
「最初は、可愛い先輩だなって思ってました」
「……」
「だから、もっと話してみたいって思って」
日向が少し笑う。
「でも、話してるうちに、どんどん好きになって」
綾花は黙って聞いている。
「先輩が笑ってると嬉しいし」
「……」
「他の男の人と話してると、嫌になるし」
その言葉に、綾花の胸が小さく跳ねた。
「体育祭のときも」
日向が少し照れたように笑う。
「『好きな人』って書いてあるの見た瞬間、先輩しか思いつかなかった」
「……日向くん」
「はい」
「私……」
言葉が出てこない。
日向は急かさず、綾花を見つめている。
「俺、綾花先輩のことが好きです」
まっすぐな声だった。
いつもの冗談でもない。
からかっているわけでもない。
本気だった。
「……」
綾花は俯く。
胸の奥が、いっぱいになる。
思い出す。
体育祭の日。
日向に「かわいい」と言われたこと。
おんぶしてもらったこと。
「俺、ほんとに本気ですよ」と言われたこと。
借り物競走で、自分を選ばれたこと。
LINEが来ると嬉しかったこと。
廊下で日向を探していたこと。
そして。
今日も、日向と帰るのが嬉しかったこと。
「……そっか」
綾花が小さく笑う。
「先輩?」
「私ね」
顔を上げる。
少しだけ恥ずかしそうに。
「最近、日向くんのこと、よく考えてた」
「……」
「気づいたら探してたり」
日向の目が少しずつ大きくなる。
「LINEが来たら嬉しかったり」
「……はい」
「体育祭の日も、ずっとドキドキしてた」
綾花は少し笑う。
「だからね」
一度だけ、息を吸う。
「私も、日向くんのこと好き」
「……え?」
日向が固まる。
「……ほんとですか?」
「うん」
「俺のこと?」
「そうだよ」
日向はしばらく何も言えなかった。
そして。
「……やば」
小さく呟いて、顔を伏せる。
「日向くん?」
「いや……」
顔を上げる。
嬉しそうに笑っていた。
「嬉しすぎて、どうしたらいいか分かんないです」
「ふふっ」
綾花も笑う。
「私も、ちょっと恥ずかしい」
「……先輩」
「ん?」
「俺、絶対大事にします」
「……うん」
二人は並んで歩き出す。
さっきまでと同じ帰り道。
だけど。
もう、先輩と後輩だけじゃない。
お互いの気持ちを知った二人の距離は、少しだけ近くなっていた。
二人で学校を出る。
いつもの帰り道。
「今日、どうしたの?」
綾花が隣を歩く日向を見る。
「なんか静かじゃない?」
「……そうですか?」
「うん」
「別に、何もないです」
「ほんと?」
「ほんとです」
そう言いながらも、日向は少しだけ緊張していた。
昨日、圭に言った。
――俺、告白する。
今日こそ。
ちゃんと伝える。
しばらく歩いたところで、日向が足を止めた。
「先輩」
「ん?」
綾花も立ち止まる。
「俺、言いたいことがあります」
「……うん」
いつもと違う日向の表情に、綾花も自然と真剣になる。
「最初は、可愛い先輩だなって思ってました」
「……」
「だから、もっと話してみたいって思って」
日向が少し笑う。
「でも、話してるうちに、どんどん好きになって」
綾花は黙って聞いている。
「先輩が笑ってると嬉しいし」
「……」
「他の男の人と話してると、嫌になるし」
その言葉に、綾花の胸が小さく跳ねた。
「体育祭のときも」
日向が少し照れたように笑う。
「『好きな人』って書いてあるの見た瞬間、先輩しか思いつかなかった」
「……日向くん」
「はい」
「私……」
言葉が出てこない。
日向は急かさず、綾花を見つめている。
「俺、綾花先輩のことが好きです」
まっすぐな声だった。
いつもの冗談でもない。
からかっているわけでもない。
本気だった。
「……」
綾花は俯く。
胸の奥が、いっぱいになる。
思い出す。
体育祭の日。
日向に「かわいい」と言われたこと。
おんぶしてもらったこと。
「俺、ほんとに本気ですよ」と言われたこと。
借り物競走で、自分を選ばれたこと。
LINEが来ると嬉しかったこと。
廊下で日向を探していたこと。
そして。
今日も、日向と帰るのが嬉しかったこと。
「……そっか」
綾花が小さく笑う。
「先輩?」
「私ね」
顔を上げる。
少しだけ恥ずかしそうに。
「最近、日向くんのこと、よく考えてた」
「……」
「気づいたら探してたり」
日向の目が少しずつ大きくなる。
「LINEが来たら嬉しかったり」
「……はい」
「体育祭の日も、ずっとドキドキしてた」
綾花は少し笑う。
「だからね」
一度だけ、息を吸う。
「私も、日向くんのこと好き」
「……え?」
日向が固まる。
「……ほんとですか?」
「うん」
「俺のこと?」
「そうだよ」
日向はしばらく何も言えなかった。
そして。
「……やば」
小さく呟いて、顔を伏せる。
「日向くん?」
「いや……」
顔を上げる。
嬉しそうに笑っていた。
「嬉しすぎて、どうしたらいいか分かんないです」
「ふふっ」
綾花も笑う。
「私も、ちょっと恥ずかしい」
「……先輩」
「ん?」
「俺、絶対大事にします」
「……うん」
二人は並んで歩き出す。
さっきまでと同じ帰り道。
だけど。
もう、先輩と後輩だけじゃない。
お互いの気持ちを知った二人の距離は、少しだけ近くなっていた。