通りすがりの俺様
「そういえばさ。
 私、最近、気になる人ができたんですけど」
と佐保子が言い出し、

「へえー」
と有沙も身を乗り出す。

「へえー。
 誰?」
と晴菜が訊いた。

「えっ?
 まだ内緒なんだけど。

 そう。
 それでさ。
 この間、会社の図書室で本借りたんだよね」

 ほら、と佐保子が脇に挟んでいた雑誌を見せている。

「ポジティブに考えてたら、何事も上手くいくんですよっ」
と有沙にまで言っていた。

「あー、それ、私も読んだ。
 人生のうちに何度かハマるよね、そういう考えに」

「いいんじゃないですか?」
といずるは有沙に言い、佐保子に片手を掲げて言った。

「前向きに考えていれば、恋の神があなたを導……」

 そこでいずるが咳き込んだ。

 ごほごほ、むせている。

 ――大丈夫か、神っ!?

「あー、喉に乾燥した空気が入って、ヒュッてなりましたー」
と神は言っていた。
 


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