通りすがりの俺様
 だから、ほんとうに。
 私が言いたくないわけじゃないですからね~、
と思いながら見送っていると、

「あ、花火行くんだ?」

 そんな声がして、ひょっと矢端が現れた。

 手にしたままだった矢端の描いた地図を見て言う。

「八時くらいだと思うよ。
 行ったらいいよ。

 行ったらきっと……」

 きっと、なんですかっ!?
と思ったとき、

「あっ、矢端さんっ」
と声がした。

 見ると、佐保子が駆けてくるところだった。

 すごく嬉しそうだ。

 もしや、佐保子が好きなのは、矢端さんなのだろうか。

 最初だけちょっと一緒に話して、邪魔しないよう、さりげなく去った。




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