通りすがりの俺様
次の日の夜。
結局、いずるたちは山の上で花火を待っていた。
カタカタ震えながら、
「寒いですね」
「ああ。
これが矢端の罠か」
「違うと思いますよ……」
と語り合う。
いずるの家に迎えに来たとき、一鷹はかなりの軽装だったので、いずるが兄のコートを貸していた。
でも、確かに、他に人、来てないな、と思ったそのとき、ヒュッとオレンジ色の光が上がった。
大きな赤い花火が弾け、少し遅れて、ドーンッと聞こえてくる。
「罠じゃなかったな」
「それはわからないじゃないですか」
といずるは思わず、周囲を窺い、
「お前の方が疑ってるじゃないか」
と言われてしまった。