通りすがりの俺様



「瓦そば風の『風』ってなんなんでしょうね」

 社食でいずるはそう呟いた。

 一鷹が、
「瓦がついてないから、瓦そば『風』なんじゃないのか」
といずるが食べている瓦そば風というメニューを眺めながら言う。

 茶そばに錦糸卵や肉や海苔、レモンにもみじおろしまでついているが、そういえば、瓦はない。

「……なるほど」
と頷いたあとで、いずるは言った。

「では、すきやき風というのは……」
「黙って食え」
と言われてしまった。

 向かいに一鷹と並んで座る矢端がそんな二人の話を興味深そうに聞いている。

 いずるが黙ると、同じテーブルの端にいた網代木たちの話を聞こえてきた。

「この間、水族館に行ったんだけどさ」

「えっ?
 誰と?」
と言う小野寺に網代木が、

「なに前のめりに訊いてくんのよ」
と言っている。
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