通りすがりの俺様



 そのあと、いずるが会議室に向かっていると、向こうから矢端がやってきた。

「はい」
と折りたたんだ紙をすれ違いざま渡してくる。

 えっ? と見ると、
「秀んちの電話番号。
 どうしても知りたいんでしょ?」
と言う。

 どうやら、一鷹と佐保子のドタバタなやりとりを見ていたらしい。

「あんまり近づかない方がいいと思うけど。
 まあ、気をつけて。

 僕はなんか企んでそうなだけだけど。
 あいつはほんとに企んでるから」

 はは、といずるは苦笑いした。

 かさりと開けてみる。

「あ、大丈夫だよ。
 秀の番号と偽って、実は僕のだなんて、セコイことはしないから」

「そんなこと思ってもないですよ」
と笑いながら、その番号を見たいずるは叫ぶ。

「050……!
 詐欺っ!?」

「いや……050ではじまる番号、全部詐欺じゃないから」

 ただのIP電話だからと言われる。

 確かに詐欺多いけど、と矢端は苦笑いしたあとで、
「そのくらい警戒してれば、まあ、大丈夫か」
と言っていた。

 
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