通りすがりの俺様
「息は合ってるかもしれませんけど。
愛がないから、つづらの中身は教えられないと言うんですよ」
と一鷹は兄に訴えている。
いや、教える気だったのに、愛があるから教えてくれるのかとか言うから、照れて教えられなくなったんですよ、といずるは思っていた。
いずると一鷹は、兄にショートケーキとチョコケーキを半分こさせられ、その上にそれぞれ苺を載せられている。
全部で四つの苺だ。
そうじゃない、と思いながらも、美味しくいただいた。
「もうちょっと距離を詰めていかないと駄目なんじゃないか?」
と兄は一鷹にアドバイスしている。
「距離を……」
とこちらを見る一鷹に、いやいや、といずるは言った。
「呑み会で肩叩かれたときよりは、近くなってますよ」
「どのくらいだ?」
と一鷹に問われる。
いずるは考えた。
「……そうですね。
長く続いているラジオの……
パーソナリティーと古参のリスナーくらいの関係ですかね?」
「どのくらいだっ!?」
と一鷹が叫び、
「結構近いな」
と兄が言った。