通りすがりの俺様
結局、三人で牛丼を食べて帰った。
一鷹が運転していると、後ろでいずるの兄が悪巧みをしている感じに言う。
「……いずるの土地が売れてリッチになったら、もうちょっといい牛丼が食えるな」
……平和だな、ここは。
だが、助手席のいずるは黙って前を見据えている。
もし、こいつのじいさんが、ほんとうにランダムに生前分与したのなら、とんだクジを引いたものだなと思う。
大金を手に入れたら、こいつも変わってしまうのだろうか?
いや、そんなことはないか。
俺はもう、こいつの人となりを知っているから。
そう思ったとき、いずるが前を見たまま呟いた。
「人間、一度高みに上って、そこに慣れると、もうそれより下は難しくなりますよね」
「そうだな」
「私も高さのある車買おうかな」
一瞬考えた。
「運転席の高さの話かっ」
他になにか? という顔でいずるは、こちらを見る。