通りすがりの俺様
「やっぱり、高い位置からだと交通状況がわかりやすいっていうか。
 見えやすいですよね~。

 うちの小型の車だと、前の車が大きいとなにも見えなくて――」

 後ろから、兄が、
「な?」
と言ってくる。

「こいつのことを真剣に悩んでも無駄だから」
と兄は突然、語り出した。

「この間、こいつに、ちっちゃくて、甘いバナナをやったんだよ。
 買ってみて美味しかったから。

 そしたら、それを食べて、こいつは言ったんだ。

『へえー、美味しい。
 まるでバナナだねっ』

 バナナだよっ!

 どう見ても、バナナだよっ。
 一回りちっさいだけだよっ。

 ……ってくらい、こいつの発言に関して、いろいろ考えるのは時間の無駄なんだ」
< 156 / 307 >

この作品をシェア

pagetop