通りすがりの俺様



 次の日、いずるが自宅に帰ると、ちょうど一鷹と矢端がやってきた。

 自宅前の道路で出くわす。

「……お疲れ様です」
と言いながら、何故、二人でここに、と思っていた。

「昼休みにやったカードゲームで負けて……」
と一鷹はらしくもなく、弱々しい声で言う。

「『今日一日、一緒にいてもいい』権利を勝ち取ったんだ」

 ……なんですか、その一部女子が悲鳴を上げそうな企画は。

「罠だった……」
と一鷹は呟く。

「俺と一緒にいると言うことは、お前の家に行くと言うことじゃないか」

 いや、来なくてもいいんですよ、別に。

「そう。
 矢端について来られたくないから、行くまいと思ったのに。

 俺が来ない間に、いずるが別の男と密会してるかもしれないとかいろいろ耳元で囁かれて」

 あなたは仕事では切れ者だと伺いましたが。

 私生活ではちょっと乗せられやすく、素直がすぎるのでは?

 さすがはお坊っちゃま。
 脇が甘そうだ。

 私が守ってあげないとっ、と違う方向性の愛がちょっぴり芽生えた。

「あの~。
 ところで、家の中で誰か灯りもつけずにゴソゴソしてるみたいなんですけど」

 いずるは道路から垣根ごしに家の窓を指差す。

「ほんとだ……。
 なんで灯りつけてないんだ?」
と言う一鷹の横で、矢端が言う。

「僕が言った通り、間男かもよ」

「あの……私、ここにいるんですけど」

 男はひとりでなにをしているんですか……。
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