通りすがりの俺様
中に入ってみると、そこにいたのは見知らぬ泥棒だった。
「ちょ、ちょっとした黄金を盗みに入っただけなんです」
女にしては長身のいずる、それに、矢端、一鷹の三人に囲まれ、小柄な若い男は膝をつき、震えている。
「……黄金?
この家、金もあるのか?」
と一鷹がいずるを振り返る。
「ないと思いますが。
誰かが生前分与でもらってたのなら別ですけど」
それにしても、他の家族は今、ここに住んでいるわけではないので、ここから持って出ていると思うのだが。
「古い家だし。
最新の防犯設備なんてなさそうだったから」
男はダラダラと冷や汗を掻きながら、そんなことを言う。
「ただ金に困って入っただけなんですっ。
本当にっ」
魔が差したんですっ。
もうしませんからっ、と平身低頭、詫びる男を見ながら、いずるは言った。
「まともなこと言ってる。
黄金だけ変だわ。
あの、この家に黄金があるって誰から聞いたんですか?」
「か、風の便りに……っ」
「どんな風の便りだ」
と一鷹が呟いている。