通りすがりの俺様
「……ほんとうのことを話してくれたら、見逃さなくもないですよ」

 いずるの言葉に、えっ? と男は顔を上げた。

「その代わり、嘘はつかないでください。
 私、自分に歯向かう人間に慈悲の心とかありませんから」

「えっ」

「やりますよ」

 ――なにをっ!?
と一鷹たちまで身構える。

「……どうなっても、正当防衛ですしね」

「違うよ……」
と呟いたのは、犯人ではなく、矢端だった。

 男はガバッと土下座して言った。

「すっ、すみませんっ。
 ほんとうは頼まれたんですっ。

 家の中の様子を探ってこいってっ」

「どんな相手なんですか?」

「わかりません。
 電柱に貼ってあったんで、高額のバイト募集って」

 ――電柱にっ。
 アナログッ!

「……そういうの、かえって警察とかにわかりにくいのか?」
と一鷹が言う。

「いや~、貼ったらすぐ剥がされると思いますけど、普通……。
 ところで、一度、連絡をとってからは、メールとかでやりとりしてたんじゃないですか?」

「えっ?
 何故わかりましたっ?」

「たぶん、あなた指示した人、急いでたんですよ。
 あなたが見つかったときの言い訳も決められていたんでしょう?

『ちょっとした小金(こがね)を盗みに入っただけなんです』って」

「あ、小金……」
と男は苦笑いした。

 メールの変換ミスだ。

 それであんな謎の言い訳になったのだ。
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