通りすがりの俺様
 指示した人物は、この程度の間違いくらい気づくと思ったのだろうが。

 電柱に貼ってある怪しい求人に応募してくるような人は、そもそもうっかりな人なので、気づかなかったようだった。

 ちなみに、そのメールアドレスはもう使えなくなっているらしい。

 報酬の半額は前払いで、言われた場所に封筒に入って埋められていたという。

 ちゃんと話は聞けたので、いずるは約束通り、男を解放しようとした。

「おい、いずる」
と止めようとした一鷹を振り向かずに、いずるは男に向かって言う。

「でも、あなたを野に放って大丈夫ですかね?」
「えっ?」

「余計なことを知っているあなたが黒幕に狙われないといいんですけど」
といずるは考える風な仕草をする。

 震える男が、
「すみません。
 警察に突き出してください」
と言ってきたので、そのまま連れていった。

 一応、自首という形にして。


 
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