通りすがりの俺様
「まあ、ほんとうに大丈夫だったか、一応、確かめとけ」
「はい」
「……俺たちが帰ってからでいいから」
「はい」
そんないずるの様子を眺めていた矢端が、
「確かめそうにないね」
と笑って言う。
いずるは口を開いた。
「電柱に貼ってある怪しい求人に応募してくるような人は、そもそもうっかりな人なので。
無駄にゴソゴソしてたりして。
こうやって、私に見つかることは黒幕の人の想定内なんじゃないですかね?」
なるほど、と一鷹が頷く。
「あの男にこの家の様子を探れと言った奴は、そのあとのお前の様子を何処からか見張ってるつもりだったのか」
ああ、と矢端もわかったようで頷いた。
「そうか。
家に不審者が入ったら、大事な物が盗られてるんじゃないかと思って探すもんね。
それで、例の土地の権利書が何処にあるかわかると思ったのか」
「まあ、盗られたところで、被害届を出したり、不正登記防止の届出とか出したりしたら大丈夫だとは思いますけど。
ほんとうにあの土地の権利が私に渡ったのか、確かめに役所まで行ったら、あの土地に興味があることがバレるので。
この家に権利書があるかどうか確かめたかっただけなのかも」
一鷹と矢端は監視カメラや盗聴器がないか調べてくれたが、ないようだった。