通りすがりの俺様
「雑とか言うんじゃないですけど。
 鳴沢さんってよくわからないなとは思いますね。

 この間、廊下で鳴沢さんがスマホの音声入力でメッセージ送ってて。

 誰かに謝罪してるみたいだったんですよ。

『いや~、ほんとにもう、すみません~っ』ってスマホにヘコヘコ頭下げながら、入れてたんですよ。

 見えないのに?
 っていうか、音声も向こうに届かないのに? って思って」

 目を奪われました、と矢端が言う。

「あと、『足の指が二人言うことを聞かない』って、この間社食で言ってて。

 足の指が二人ってどういうことだと思って、ずっと鳴沢さんの話聞いてて――」

 いやあの、足の体操やってたら、お兄さん指とか、お姉さん指とかが上手く動かなくてですね……。
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