通りすがりの俺様
「こんちは。
 どした? 土曜なのに」
と笑われる。

「実は近くに……」

 引っ越してきたって言うのはやめよう。

 何処で誰が聞いてるかわかんないもんな、といずるは思う。

「近くに用事があって」

「そうか」
と彼が言ったとき、店が開いて列が動き出した。

 彼といずるの間にいたのは家族連れだったので、テーブル席に座り、結局、カウンター席で隣になった。

「俺は今日は、昼から一杯やろうと思う。
 お前もどうだ」
と誘われる。

 昼から豚骨ラーメンで一杯か。
 いいな。

 いずるは、半餃子、半チャーハン、ラーメンの食券を買っていた。

 ビールも買ってくるべきかっ。

 いやいや。
 仕事から帰ってきた水内さんたちに知られたら、
「なにひとりでいいことしてるんだっ」
とキレられそうな気がする。

 やっぱり、やめとくか、と思いながら、いずるは立ち上がった。

 ちょうど券売機の途切れたところだったので、生ビールの食券は、すっと買えた。

 カウンターに出しながら、
「はっ。
 心の中ではやめとくかと思っていたのに、身体が勝手にっ」
と言って、豚骨な友人に笑われる。

 キンキンに冷えたビールがすぐに来て、なんとなく乾杯した。





 
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