通りすがりの俺様
「ほんとうはもう気づいてるんじゃないのか?」

 いずるはゴクリと唾を飲み込む。

「まさか……」

 彼はふっと笑って言った。

「もしかして、最初から気づいて黙ってたのか?

 そうだ、俺は――

 小学校の掃除の時間、机の上を飛び歩いていたお前を後ろから蹴った松下だ」

「……ああ、ケンちゃん」

 格好よくなったね……と言って、誤魔化すように笑った。

「あのときはすまなかった。
 まさか、ほんとに転がり落ちると思わなかったんだ」

「いやいや。
 机の上を歩いてた私が悪いよ」

 みんな、やんちゃだったな、と一年二組の面々を思い出し、乾杯した。

 

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