通りすがりの俺様
「それで、日取りはいつなんでしょう?」
いつの間にか、五着のドレスが選ばれていた。
「……は?」
といずるは訊き返す。
「お式の日取りです」
予約票に書こうとしながら、飯田が言う。
一鷹が、
「それがまだ、式場の方を見に行こうとしてる段階だったんで。
急に思い立っただけだから、見学できるかもわからないんですが」
と答えていた。
「そうなんですね~」
と飯田は苦笑いしながら、
「あっ、じゃあ、日取りが決まりましたら、式場の方から、こちらに連絡してもらうようにします」
有能な飯田は、ポンポン話を進めてしまう。
「あのっ」
といずるが言いかけたとき、
「あっ、そうだ。
これ、どうぞ~」
と飯田は抜群のタイミングで、パンフレットの入った袋とともに、例のチョコを渡してきた。
そこに、奥で電話していた笙子も出てくる。
「そういえば、来週、新しいドレスが入荷されるんですよ。
よかったら、また見にいらしてください。
私も、これぞ、と思うものがありましたら、とっておきます」
「えーとですね……」
「そうだ。
これ、もうひとつ。
内緒ですよ」
ともう一個チョコを渡され、いずるは完全に沈黙した。