通りすがりの俺様
「秀さんのご友人が住みたがってたらしいんですけど。

 あいつは俺が片付けてるテーブルに、そこにゴミ箱があっても、ポンポンゴミ置ける奴だから駄目だと秀さんは言ってましたね。

 あと、意外とうちの兄が細かいことが発覚しました。

 家にいるときはそうでもなかったのに。
 一人暮らししはじめてから細かくなったらしいです。

 どうされますか?
 部屋のサイズと場所で金額決まってるみたいなんですけど。

 あ、この金額決めたの水内さんなんですけど。
 公平にすべきだって、もう業者みたいに細かくて――」

 いや、あんたが業者みたいだよ。

 っていうか、話がグイグイ進みすぎて、怖いっ。

「早くしないと、他の人が希望するかも知れませんよ」

 焦らせて契約させる悪徳業者の手口っ!

「待ってっ」
 左手を額にやり、右手をいずるに向かって突き出し、小野寺が言った。

「すごく美味しい話だけど。
 矢端さんと住めるだなんて。

 っていうか、そのメンバー、めくるめくイケメンたちのイケメンパラダイスなんだけどっ。

 でもっ、だからこそ、知りたくないことってあるじゃないっ?

 矢端さんの嫌なところとか知りたくないし。

 他のメンツのも知りたくないっ。

 それに、水内さんからせっかく、矢端さんに流れ着いたのに、また矢端さんの嫌なところも見つけて。

 新たな好みのイケメンを探す旅に出なきゃいけなくなるの、嫌よっ」

 ……大体は同意なんだけど、一個だけ。

 あんた、水内さんの嫌なところを見つけて、矢端さんにかわったんだったっけ?

 そこで、いずるが怖い顔で言う。

「え?
 水内さんに嫌なところなんてありましたっけ?」

 ――いや、あんたが普段、一番水内さんの文句言ってるけどっ?

 うちの亭主はだらしなくて~とか言うくせに、そうよね、と相槌を打った途端、すごい勢いで反論してくる妻的なっ?
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