通りすがりの俺様
「なになに、結局、結婚するの?」
と秀が後ろから現れ、訊いてくる。

「だったら、僕ら出ていかなきゃいけなくなるよね」
と矢端も現れ、言ってきた。

「えっ、それは……」

 ちなみに、絶賛騙され中の兄は、その彼女とウキウキ電話をしているようで、中庭には出てこなかった。

 せっかく、上手く共同生活が回せるようになったのに、と思っていると、

「結婚やめなよ。
 このまま、みんなで暮らそうよ」
と意外なことに秀が先に言ってきた。

「まあ、確かに、俺も今の暮らしが気に入ってはいる。
 だが、いずるとは結婚したいし……」

 そうだ!
と一鷹は家を振り返り言った。

「この家を二つに分けよう。
 このリビングを中心として、ここから右側が俺たちのラブラブ新居で。

 左側がお前たちのラブラブ新居だ」

「ここにラブラブはいらないよ」
と矢端は笑ったあとで、

「で、お兄さんは?」
と訊いた。

 リビングのソファで楽しげに彼女と話している兄を見ながら、一鷹は呟く。

「……まあ、そのうち、その怪しい女と住みはじめるかもしれないし」

 待ってください。
 お兄ちゃんを見捨てないで、といずるは苦笑いした。


 

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