通りすがりの俺様
次の日の昼。
社食にいたとき、網代木が言い出した。
「あそこ、イケメンが固まってるわ」
見ると、窓際の席に、一鷹、矢端、いずると同じ部署の藤屋満がいた。
三人は同期なので、たまに一緒に食べている。
そちらを見ながら、網代木は滅多に見せない真面目な顔で言った。
「……私、小中高校とずっと思っていたの。
遠くの街になら、すごいイケメンがいるはずって」
わかるっ、と小野寺たちが身を乗り出す。
「今、私の周りにはいないけど。
俳優とかタレントとして、この世にはすごいイケメンがいるんだから。
何処かの街には住んでるはずよね、すごいイケメン」
晴菜が言った。
「遠くに旅行に行ったり、大学や就職で地元を離れたら、そこにはすごいイケメンが住んでるんじゃないかと期待しちゃうんですよね」
……でもそれ、晴菜が移り住んだ土地の人たちも、遠くになら、すごいイケメンがいるはず、と思っているのでは。
「でも、この会社とあんたんちにはいっぱいいるわっ」
唐突に網代木がこちらを振り向いた。
「今、この瞬間っ、いずるを使わなくてどうするのっ」
ガタッ、と立ち上がった網代木たちは急いでトレーを片付け、今度は珈琲とケーキやプリンを頼み、それらを手に、一鷹たちの許に行った。