通りすがりの俺様
「でも、果実のなる木がある庭って、いいですよね」
ワインを呑みながら、ライムの木を眺めていたいずるは、一鷹が沈黙していることに気がついた。
振り返ると、こちらを見ている。
ちょっとドキリとするような顔で――。
思わず、視線をそらすと、
「今、俺にときめいたろ」
と一鷹が言ってくる。
「……ときめいてません。
ただ、最初のときと表情違うなって」
「あのときはお前に声かけるのに、緊張してたからだ」
そうは見えませんでしたがっ!?
一鷹が自分を見つめて言う。
「ずいぶん距離が近づいた気がしてるのは俺だけか?」
え……
えーと……。
「……早く、秀たち戻ってこないかなと思ってたが、もうちょっと遅くてもいいな」
……えーと。
今すぐ帰ってきてくださいっ、秀さんたちっ、
と思ってしまう。
じりじり一鷹が近づいてくるので、いずるは、じりじりライムの木に追い詰められる。
誰かっ、助けてっ。
中庭をロの字型に囲む廊下のひとつに灯りがついていてた。
兄が歩いているのが見える。
兄っ。
いたのかっ。
助けてっ、兄っ、となんとなく思ったが、兄は嬉しそうに電話をしながら歩いている。
ラブラブ電話っ。
無理っ。
ワインを呑みながら、ライムの木を眺めていたいずるは、一鷹が沈黙していることに気がついた。
振り返ると、こちらを見ている。
ちょっとドキリとするような顔で――。
思わず、視線をそらすと、
「今、俺にときめいたろ」
と一鷹が言ってくる。
「……ときめいてません。
ただ、最初のときと表情違うなって」
「あのときはお前に声かけるのに、緊張してたからだ」
そうは見えませんでしたがっ!?
一鷹が自分を見つめて言う。
「ずいぶん距離が近づいた気がしてるのは俺だけか?」
え……
えーと……。
「……早く、秀たち戻ってこないかなと思ってたが、もうちょっと遅くてもいいな」
……えーと。
今すぐ帰ってきてくださいっ、秀さんたちっ、
と思ってしまう。
じりじり一鷹が近づいてくるので、いずるは、じりじりライムの木に追い詰められる。
誰かっ、助けてっ。
中庭をロの字型に囲む廊下のひとつに灯りがついていてた。
兄が歩いているのが見える。
兄っ。
いたのかっ。
助けてっ、兄っ、となんとなく思ったが、兄は嬉しそうに電話をしながら歩いている。
ラブラブ電話っ。
無理っ。