通りすがりの俺様
 


「えーっ、ショックです~っ」
と有沙の話に晴菜は言った。

 有沙はこのフロアの女性たちが合同で使っている広いロッカールームを見回して言う。

「そう。
 彼、ここで逢引きしてたらしいのよ。

 最近、支社からシステムに来た子と出てくるのをうちの同期が見たらしいの」

 逢引き……。

 そう言われると、なんとなく風流な感じがするな、といずるは思った。

「人気のないときを狙って、ここで逢引きをするなんてっ。
 ここは私たちが隠れてお菓子を食べたりする神聖な場所なのにっ」

 それ、神聖な場所なんだ……と自らも食べているいずるは苦笑いする。

七人(ななと)はもう同期から抹消してやりますっ」

 ……同期から抹消できないのでは。
 晴菜の言葉に、はは、といずるは笑った。

 いずるの同期、水鳥七人(みずどり ななと)が女子社員といちゃいちゃしながら、ここから出てきたらしいのだ。

 あのお弁当返してた子かな、といずるは思う。
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