通りすがりの俺様
「家の中に誰かいたから声をかけたら逃げ出して。
 追いかけてここまで来たんだ。

 この中に逃げようとしたそいつを追いかけて、エレベーターに乗ったところで、相手が閉めるボタンを押して降りたんだ。

 続いて降りようとしたら、この床つるつるだったんで、転んで、頭打った」

 ねえ、僕、死んでない?
と秀は繰り返す。

「死んでない。
 目が覚めたとき、美女に囲まれてない時点で、お前の夢でもない」
と矢端が言う。

「……確かに、ほぼ野郎に囲まれてる時点で、夢でもなければ、天国でもないね」

 いたた、と腰をさすりながら、秀は起き上がってきた。

「犯人捕まったんじゃなかったのか」
と一鷹が手を貸しながら言う。

「まあ、他にもいるってことだろ。

 よかったじゃん。
 犯人いるのなら、この生活、まだまだ続けられそうで」

 あっ、と秀は言った。

「このまま、いずるちゃんと暮らしたいから、一鷹がやったんじゃないの?」

「俺はみんなといたろ。
 あと、いずると俺は結婚するんだ。

 どっちみち、一緒に暮らせる。
 犯人がいた方がお前たちが、まだまだ一緒にいてくれるかなと思うだけだ」

 だから、結婚はいつ確定になったのですか。

 まあ、式場もドレスも決まっちゃってますけど、
と思いながら、いずるは聞いていた。
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