通りすがりの俺様
 


 秀たちが戻って来るのを待つ間、ホワイトボードに犯人の顔の予想を描いて相関図などを作ってみていた。

「……一鷹は意外に画伯だね」
と矢端が言う。

 もちろん、いい意味ではない。

 この人にもできないことあったのか、といずるは人間というより、不思議な生き物の絵を眺めながら思う。

「……メッセージ入りのスタンプとかにしたら売れそうですね」
と言って、

「ほんとうに売り出すぞ……」
と脅される(?)。

 そこで、矢端がおもむろに立ち上がり、包丁を手に取った。

「なんか眠くなったね。
 僕、そろそろ寝るねー」
と笑顔で言う。

 その包丁はなんですかっ、と思ったが、護身用らしい。

 犯人の方が怯えますよ、と思いながら、矢端が去っていくのを見送っていると、

「なんか腹減ったな」
と一鷹が言い出した。

「そうですね。
 おでんはずっと食べてたので。

 他にちょこっと、なんかないですかね?」

 いずるがそう言うと、

「そういえば、職場に売りに来るおばちゃんから買ったパンがある」
と一鷹は棚にあるカゴを見た。

「ちっちゃいやつだが」
と小さくて四角いパンがたくさん入ったビニール袋を持ってくる。

 ほれ、とくれた。
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