通りすがりの俺様
「あ、このくらいのサイズの、いいですね」
といずるは笑う。

 ちょっとかためのそのパンは二口くらいで食べられそうだった。

 いずるの前に腰掛けながら、一鷹が言う。

「あっためたら美味いんだ、そのパン」

「……食べ終わってから言わないでください」
といずるは恨めしげに一鷹を見上げた。

「っていうか、水内さんもそのまま食べないでください」

 あっためたら美味いと言いながら、そのままかぶりつく一鷹にそう言ったが、
「死なば諸共(もろとも)だ」
と一鷹は笑って言う。

「……微妙に違うと思います」
と言ったあと、目を合わせ、微笑むと、一鷹は急に視線をそらした。

 そのとき、ことりと廊下で音がした。

「秀さんたちですかね?」
と言ったが、入ってくる様子がない。

 二人で慌てて位置共有を見たが、誰でもない。

 みんな庭に落ちていたり、何処かの隙間に挟まったりしている。

 やっぱり正確じゃない、位置共有っ、と思ったとき、一鷹が立ち上がり、不審人物に向かって行こうとした。

「あ、危ないですよっ」
といずるも立ち上がったとき、一鷹が廊下に向かって言った。

「逃げるなっ。
 入ってこいっ。

 お前が誰だかわかってるんだっ!」

 ええっ?
 そうなんですかっ?
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